胃がん

早期には自覚症状が無く、
進行して初めて症状が現れる
胃がん

胃がんは、胃粘膜の細胞が何らかの原因でがん化し、それが無秩序に増加して発生します。早期に発見できればほとんどの場合は完治が望めますが、早期には自覚症状をほとんど起こしません。また、進行してもはっきりとした自覚症状が無く、転移した先で症状を起こして発見されるケースもあります。 胃がんが進行して現れる症状には、胃やみぞおち周辺の痛み、胸やけや胃もたれ、吐き気、食欲不振などがあり、さらに進行するとタール便などを起こすこともあります。胃がんによる胃の痛みも市販薬で一時的に抑えることができることから、発見が遅れるケースもあります。慢性的に症状が続く場合には早めに消化器内科を受診してください。

軽い症状でも、続く場合は早めに相談を

進行した胃がんで生じる症状は他の幅広い疾患でも生じます。また、深刻な病気だから強い症状が現れるということではなく、日常的な原因で起こる不調程度の場合もよくあります。受診するほどではないと放置しているうちに進行させてしまうことがありますので、軽い症状でも続く場合には消化器内科を受診して原因をしっかり確かめることが重要です。

進行するまで症状が現れにくい胃がん

早期には自覚症状が乏しいことから、受診した場合には進行した胃がんが発見されることが多くなっています。胃がんは昔から日本人に多いがんで、ある程度進行していても有効な治療方法が確立しており、症状が出てしまったら手遅れということはありませんが、治療による心身への負担、再発リスク、治療後の生活の質を考えると早期発見と治療はとても重要です。定期的に胃カメラ検査を受けることが早期発見には最も有効ですが、軽度でも不調や症状が続いた場合には消化器内科を速やかに受診することが重要です。

胃がんは罹患数の多い
がんですが、
死亡率は
減少傾向にあります

胃がんは昔から日本人に多いがんで、現在、国内で年間10万人以上が胃がんの診断を受けているとされています。ただし、胃がんによる死亡率は減少傾向にあります。治療方法の確立、胃カメラ検査による検診・ピロリ菌感染検査と除菌治療の普及などがその背景にあると考えられています。

胃がんのリスク要因

ピロリ菌感染、喫煙、肥満、塩分の過剰摂取などが胃がんの主なリスク要因とされます。また、胃がんになったご家族がいるといった家族歴もリスク要因とされています。 ピロリ菌感染陽性の場合も、除菌治療を成功させることで胃がんリスクを低減できます。また、喫煙、肥満、塩分の過剰摂取は、禁煙や減量、減塩によってリスクを下げられます。喫煙、肥満、塩分の過剰摂取は胃がんだけでなく、高血圧をはじめとした様々な生活習慣病のリスクでもありますので、生活習慣改善に取り組むことは他の病気の予防にも繋がります。

胃がんの進行度

胃がんは、早期胃がんと、進行胃がんに分けることができます。胃壁は、内側から粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜と層状に重なっていますが、がんが粘膜下層までに留まっているのが早期胃がんです。 進行胃がんは、粘膜下層よりも下の固有筋層まで達しており、さらに進行すると漿膜を超えて胃の外側にある大腸・横隔膜、膵臓・肝臓などへの浸潤や腹膜播種を起こすことがあります。さらにリンパ液や血液に運ばれて離れた臓器に転移することもあります。

胃がんハイリスク診査

胃がんハイリスク診査は、ピロリ菌感染の有無(血清ヘリコバクターピロリ菌抗体)と胃粘膜萎縮の程度(血清ペプシノゲン値)を測定して、胃がんの発生リスクをA~Dの4つの群に分類し、適切な検査を行うことで胃がんの予防と早期発見を目指します。この簡便な血液検査は国保特定健診などと同時に行えます。ただし、胃がんハイリスク診査は胃がんを直接見つけるものではなく、胃がんになりやすい状態かを調べるためのものです。
A群と判定された場合、胃がんのリスクは非常に低いとされますが、過去にピロリ菌に感染していた可能性や胃粘膜の萎縮がある場合があるため、胃がん検診を受けて確認することが推奨されます。
B群、C群、D群と判定された場合、胃がんのリスクが高まりますので、保険診療で胃カメラ検査などの精密検査を受け、胃の状態を確認し、ピロリ菌感染があれば除菌治療を受けることが必要です。ただし、ピロリ菌の除菌だけでは胃がんリスクは完全に解消されません。精密検査や除菌治療を受けた方は、医師と相談の上、定期的に胃カメラ検査などを受けることが大切です。

胃がんの内視鏡検査

胃がんを発見するための検査には、胃カメラ検査や造影剤を使った胃部X線検査があります。 胃部X線検査は平坦で小さな病変を発見することは困難であり、疑わしい病変が発見されても確定診断には改めて胃カメラ検査を受けなければならないためお勧めできません。
当院では、胃粘膜を隅々まで詳細に観察でき、疑わしい組織を採取してがんをはじめとした多くの疾患の確定診断ができる胃カメラ検査を行っています。平坦で表面変化に乏しい微細な早期胃がんの発見も可能な特殊光による観察といった高度な機能を専門医が使い、精度の高い検査を行っています。鎮静剤を使った楽な検査も可能ですので、安心してご相談ください。

早期発見のために
定期的な検査を

自覚症状の少ない胃がんを早期に発見するためには、症状が無い段階で定期的に胃カメラ検査を受けることが最も有効です。重要なのは、ご自分のリスクに合わせた頻度で胃カメラ検査を受けることです。 50歳以上の方は胃がんのリスク要因となるピロリ菌感染陽性の割合が高いことから、毎年1回程度、胃カメラ検査を受けることをお勧めしています。最初の胃カメラ検査でピロリ菌感染の有無を確認し、陽性の場合は除菌治療を受けるとリスクをある程度低減できます。
また胃がん発症が増加し始める40歳を超えたら1度、胃カメラ検査を受け、ピロリ菌感染の有無など胃がんリスクを確認し、それに合わせた頻度で胃カメラ検査を受けることをお勧めしています。なお、ご家族に胃がんを発症した方がいるなど、高リスクの場合には30代のうちに胃カメラ検査を受けておきましょう。

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